竹原市の町並み保存地区の散策は、道の駅の観光案内を見てから始めましょう。
道の駅の反対側に流れる川は本川、新港橋の袂にある頼山陽広場を左に見ながら、
町並み保存地区へ向かいましょう。
すぐに出会う三叉路から町並み保存地区の散策が始まります。
目次
竹原市、町並み保存地区を散策
この三叉路の真ん中、三角地帯にある『はこにわ本舗いちかわ』の掛町支店です。
はこにわ最中が定番オススメですが、竹鶴さんの17年ものウィスキーを使ったケーキは、お酒が好きで甘い物も好きという方には、ぜひオススメです。和洋菓子、両方揃うお菓子屋さんで、ここでしか手に入らないお土産もよいですね。
すぐに見えるのが
旧笠井邸
明治5年に建設された塩田経営者(浜だんな)の家で、庭園も必見です。
美しい庭園というわけではありませんが、当時の趣を感じられます。
池の周囲には、「春日灯籠」、「織部灯籠」と貴重な灯籠があり、塩田から移築した建物もみられます。本瓦葺の大屋根と袖壁を設けた建物は、江戸の文化が残るデザインです。
一歩中へ入ると、旧笠井邸が長い年月を経て今も生きているのがわかります。
2階へ上がると、立派な梁が組まれています。これは一見の価値ありです。
現在は、展示会・会議・箏、三味線の稽古・絵本の会、人形劇など、様々なイベント会場として使用されているそうです。
鳥羽町通り
旧笠井邸へ向かう道。突き当りの交わる道、本町通りを左へ。最初に現れる角(右)を入ると、長生寺・地蔵堂へと繋がります。
長生寺
真言宗のお寺で、歴史好きなら楽しめるお寺です。伊予国の河野通直が羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)との戦いに敗れて、竹原へ逃れ、わずか24歳で病没し、その家臣たち42名も殉死したそうです。これを小早川隆景が悼み、天正16年(1588年)寺領200石を寄進して創建されたお寺です。本堂左側には、文教の神を祀る庚申堂と地蔵堂が、奥には鎮守の稲荷社があります。裏山のミニ88ケ所霊場は、20分足らずで一巡でき、信者の方々が訪れる巡礼スポットになっています。
神明掛町通りと竹鶴酒造
掛町通りから神明掛町通りを突き抜けると、正面に竹鶴酒造が見えてきます。何ともノスタルジックな通り。
下の写真は、マッサンのキャストと竹鶴酒造のパネル写真。
『マッサン』(NHK連続テレビ小説2014年後期)の舞台
竹鶴正孝の生家『竹鶴酒造』
誰もが知るニッカウヰスキー創業者の竹鶴正孝の生家で、技術の高い、名だたる現役の造り酒屋です。もとは、「小笹屋」(おざさや)の屋号で、製塩業を営んでおり享保18年(1733年)に、酒造業を始めたといわれています。
建物は、主屋と南の蔵が江戸期に建築されたもので、後に増築があり現在に至ります。
『竹鶴酒造』の建物は、造り酒屋の凛とした存在感を感じさせる建物です。
2014年後期のNHK連続テレビ小説『マッサン』で話題になって以来、竹鶴酒造への見学者が増加し、本業に差し支えることもあり、今は見学ができなくなっています。
外からは観光できますから、最低限のマナーを守り記念スナップを撮影するとよいですね。
松阪邸
江戸末期の代表的な商家の建物です。文政の頃に建てられたようですが、明治12年に手を加えられ改築されました。製塩業、醸造業など手広く事業をしていた商家のようです。
唐破風の屋根に、菱格子の塗り込め窓は、この辺りでも一際目をひきます。中々、こうした商家の建物を見学できる場所は少ないため、積極的に見学したい場所ですね。親子で歴史に触れたり、学生さんなら建築様式を学んだり、楽しみ方は色々あります。
建物内は、見学可能です。大人200円/名、見学時間は、9時から17時まで。お休みは、毎週月曜日と年末年始。月曜が祝日の場合は、見学できます。
亀田邸(安政3年建築)
松阪邸の真裏の通り、掛町通りに面しています。松阪邸の建物とは一線を画す、数寄屋風建築(茶人不二庵設計)。外観からもシンプルで無駄のない、数寄屋の特徴を観てとれます。簡素の美は、心が洗練されるようですね。軒丸瓦には、亀田家の家紋が入っていました。外観のみ見学可能です。
西方寺・普明閣
西方寺と普明閣は、少しばかり複雑な関係性を持ちます。西方寺は、田中町にある禅寺でした。現在の場所には、元は禅宗の妙法寺があり、慶長7年(1602年)に火災で焼失した後、翌年には西方寺がこの地へ移転し、浄土宗へ改修しています。
歴史建造物としては本堂、鐘楼、法界地蔵堂、山門などが建ち並び、境内前面には、城郭のような石垣もみられます。江戸中期における、この地方の典型的な仏堂形式を持ちます。須弥檀は元の宗派である禅宗様式になっており、かつての禅寺時代の名残があります。
西方寺への石段
西方寺への石段からの眺め
普明閣は、宝暦8年(1758年)の建築で、西方寺本堂向かって右横の高台に位置しています。西方寺移転前に妙法寺があった頃の本尊、木造十一面観音立像(県重要文化財)を祀っています。
建物は、舞台づくりで方三間宝形造、本瓦葺の二重屋根になっています。
この舞台に立ってみるとわかりますが、京都の清水寺を模して建立されているようです。
建立年代としては新しいものですが、普明閣に上がると竹原の町を一望できます。
竹原に行ったなら、必ず上ってみたい場所です。(現地の方も推奨)普明閣は、町のどこからでも望むことができる、ランドマーク的な役割なのかもしれません。
普明閣
普明閣からの眺め
町並み保存センターと歴史民俗資料館、竹鶴正孝・リタの銅像
町並み保存センターでは、「竹原市重要伝統的建造物群保存地区」として大切に保存されている町並みの解説を、DVDで知ることができます。この映像はノスタルジックな仕上がりで、短時間ですが映画が好きな方には、ちょっとオススメしたいです。
また概ね外観しか見ることのできない古い建物の内部構造も観ることができます。お子様連れの方など、トイレ休憩もできます。
(トイレは、町並み保存センターと憧憬の広場に設置されている)
本町通りから憧憬の広場横
歴史民俗資料館が、憧憬の広場を挟み隣接しています。この建物は昭和4年(1929年)に、町立竹原書院図書館として建設され、翌5年(1930年)4月1日に開館しました。
昭和47年(1972年)1月31日までの42年間、竹原市の文化活動の拠点として活躍してきました。
その由来は江戸中期に遡り、頼春水、春風の師・塩谷道碩(医師・儒学者 明和元年【1764年】62才で病没)の志を継承するため、師の没後30年、寛政5年(1793年)
塩谷道碩の家を竹原書院(学問所)として開設されたことに由来します。先の図書館は移転し、昭和55年6月竹原市歴史民俗資料館として再始動しています。竹原郷土文化研究会を中心に、市民から寄贈された「文化」「歴史・民俗」「塩業」「産業」などの資料や、竹鶴正孝・リタ夫妻に関する資料も収蔵されています。
建物の外に出ると、そこは憧憬の広場になっています。
竹鶴正孝・リタ夫妻の銅像が、
迎えてくれます。
歴史民俗資料館は、図書館だっただけに、クラシカルで知的な雰囲気が漂っている。
憧憬の広場では、吹き抜ける風も心地よく、竹鶴正孝とリタの像が迎えてくれる。町並み保存センターの建物を眺めていると、古き良き時代へタイムスリップしたかのような、気持ちになった。
おかかえ地蔵
本町通りから歴史民俗資料館の脇道を入り、
急な坂道を上って石段を少し上ると、
おかかえ地蔵尊に辿りつきます。
ここでは「おかかえ地蔵」さんに、出会えます。心で願い事を祈りながら、お地蔵さんを抱えてみましょう。
想像したより軽ければ願い事が叶うという都市伝説があります。お願い事をする時は、「オン・カカカ・ビサマエイ・ソワカ」と、お地蔵さんの真言を3回唱えるといいそうです。
しかし、うっかり忘れても大丈夫です。心から願ってみて下さい。私は重いと思ったので、叶わないかもしれ ません。長生寺にも、「おかかえ地蔵」さんが、いらっしゃいますので、
念のために、こちらでも御祈願されてみてください。
賴惟清の旧宅
本町通り、胡堂近くに建 つこの旧宅は、歴史に名立たる『日本外史』の著者・賴山陽の祖父、賴惟清(らい これすが)が紺屋(染物屋)を営み、生活していた居宅です。
家屋は安永4年(1775年)頃のもので、入母屋塗込造本瓦葺の母屋、単層屋根切妻造本瓦葺の離れ座敷からなっています。中へ入って見学することが可能です。(無料)
裏庭には賴山陽の詩を刻んだ碑が建てられています。
賴家が暮らしていた当時は竹原塩田が富を生み、上層町人の間で文化活動が盛んになっていました。惟清は父から「男の子が生まれたならば学問をさせよ」と常々言われていたようです。惟清自信も、塩谷道碩(医師・儒学者)に学びながら、文化活動に参加していたようです。後に、三人の息子・春水、春風、杏坪も、「三頼」と称され、全国で名声を響かせ、春水の子・山陽へ、また山陽の子・三樹三郎へと学問への志は継承されています。
建物内部で、自動音声によるガイドを聴くことができます。質素ですが、住んでいた人の品性を感じる場所です。(昭和32年9月30日に県の史跡に指定)
酒造交流館(藤井酒造)
築250年の酒蔵の一角を改造し公開されています。試飲コーナーはもちろん、酒造ならではのお土産も販売していて、店内奥には「そば処たにざ き」もあります。
すぐ横に駐車場ががります。
太い柱や天井の梁が、歴史と伝統を伝えるのに、十分な雰囲気です。
竹原市の歴史的風致形成建造物に指定され ているそうです。試飲コーナーもあり、お酒はもちろん酒かす、地元竹原市の塩、手作り雑貨などの作家作品も、リーズナブルな価格で販売されています。また酒造のアイスクリーム、造り酒屋の酒米100%のおせんべいも好評です。
蔵の奥に進むと「そば処 たにざき」さんが、あります。基本的に合席になりますが、それゆえに出会いと交流も生まれます。
また蕎麦だけではなく、藤井酒造さんのお酒も楽しめ、お酒の肴メニューもあります。ほろ酔いセットなどがオススメです。鯛めしセットは、美味しくてお得感あります。
笛吹亭イタリアン イル・トラゲット
築150年保存指定建造物を、レストランとしてオープンされています。そのために、お店の入り口の間口では、少し屈みこむ必要があります。頭をぶつけないよう、また足下は躓かないように、気をつけてください。
店内は、薄暗くなっていますが、クラシカルな雰囲気が漂い、ゆったりと寛げるスペース作りがされています、それゆえに4組様までしか入れません。
運よく利用できる日もありますが、行くのが決まっているなら、予約して行かれることを、オススメします。
営業は、金・土・日・祝祭日で、11時30分~15時までランチ営業をされています。 メニューは、ランチコースのみです。パスタは2種類から選べ、1,800円です。
本郷の有機栽培農家さんの野菜を使った、前菜、
サラダ、
手作りパスタを堪能できます。
もちろん最後の〆は、手作りデザートとコーヒーです。築150年以上の建物の中で歴史を感じながら、美味しいイタリアンをいただく。贅沢な時間を、お過ごしいただけます。
住吉橋を渡り、酔景の小庭へ
本川に架かる住吉橋を渡り、森川邸を背に酔景の小庭に立ってみると、対岸には木造建築の日の丸写真館が、存在感たっぷりに懐かしい情景を醸し出しています。竹原の町並み保存地区へ行ったなら、この情景も眼に焼き付けて帰っていただきたいところです。
この場所は、かつて塩田で栄えた頃、製塩された塩を船で運び出すために、たくさんの商船が往来していた港です。今も常備灯や雁木が、その名残を見せています。川沿いに揺れる柳も雰囲気よく、船着き場のムードに浸ってみてください。
忠海エリア、大久野島への旅のポイント
併せて忠海長浜エリアのエデンの海へ立ち寄る場合は、電車でも行けますがエデンの海へは竹原駅から2駅の安芸長浜駅から徒歩20分程度かかるので、時間の余裕と気候などにより最初から車で移動された方がいい場合が多いでしょう。
大久野島やアヲハタジャムデッキ目指す場合は、町並み保存地区から徒歩12分ほどで竹原駅へ行き、JRで忠海駅まで向います。
大久野島へ向かう場合は、忠海港からフェリーに乗りますが船の時間がありますので、15時くらいには、忠海港へ向かった方が安全です。